複雑にからんでおり、楽観論、悲観論が併存しており、決定的な結論はない。しかし、世界の食糧生産が増産傾向から停滞、減少傾向に転換しつつあることは多くの専門家により指摘されており、かつ他方において少なくとも今後半世紀は世界人口の増加は持続し、上述の如く100億に向っての増大傾向が確実であるとすれば、食糧問題が深刻な課題であることは避けられないであろう。
緑の革命は食糧生産の激増を可能にしたが、それは一時的な素晴しい処方箋であった。ローマクラブの「成長の限界」(1972)は、農業生産技術の新しい展開があっても、結局食糧不足が生じ環境悪化と共に死亡率の異常な上昇によって悲惨な「マルサス的解決」に直面することになると警告した。
世界人口の増加率は1960年代前半から1970年前半の15年間にわたり年率2%前後という人類史上前例のない高水準に達した。しかし、この15年間のピーク後、緩慢ながら着実な低下傾向を持統し、1990年前半には年平均1.57%に達した(国連:1994年推計)。この世界人口増加率は約半世紀後の2045−2050年には年平均0.51%にまで低下すると国連は推計している。この世界人口増加率が0.5%に到達することは望ましい水準として歓迎されるが、問題は世界人口の80%を占める開発途上国の人口増加率が2045−2050に年率0.16%に達することが必要となっている。特に現在(1995−2000)年率2.7%を占めるアフリカ、2.0%の中央・南アジア、2.4%の西部アジアが半世紀間に、アフリカでは半分以下、中央・南アジアは4分の1に、西部アジアでは3分の1の人口増加率にまで低下させることは極めて容易なことではないであろう。
しかし、さらに重大な挑戦は、年間増加数の膨大な規模であろう(表と図参照)。年間増加率の水準に問題はなおあるとしてもとにかく低下の持続が予想されているのに対して、世界人口の年間増加数は1980−1985から2020−2025までの45年間にわたって年間8000万ないし9000万の巨大な量に達することである。この45年間の増加数だけで40億に近い規模である。1995年から計算すると、2025年までの30年間が人類にとってもっとも危機的な時代であるといえよう。この毎年追加増加人口の8000万ないし9000万の膨大な人口に対し、食糧、住宅、雇用機会、健康・医療サービスの提供は可能であるかどうかということである、その中でも直接生存を脅かす
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